羊羹とお坊さんは縁が深い?!「竹林寺羊羹」のはなし
羊羹とお坊さんは縁が深い?!「竹林寺羊羹」のはなし
2024.04.04
RKCラジオで毎月第1木曜日の午前10時35分頃から放送している「和菓子のはなし」

和菓子の魅力、美味しさを、創業元禄初年(1688年)西川屋老舗・池田真浩さんと楽しくお伝えしています。

今月紹介するのは、五台山竹林寺にちなんだ「竹林寺羊羹」について!

『意外?!羊羹はお坊さんと縁が深い食べ物!』
4月を迎えて一気に暖かくなってきた今日この頃。四国八十八カ所を巡る遍路旅に出かける人をはじめ、お寺へ散策に訪ねる人もだんだんと増えてきました。

特に今年は、4年に1度の逆打ちの年!今年八十八カ所を逆順に回ると、通常の3倍のご利益があると言われるそうですよ。
ということで今回は池田さんに四国八十八カ所第三十一番札所・五台山竹林寺にちなんだ羊羹「竹林寺羊羹」を紹介してもらいました。



実は羊羹はお寺のお坊さんと縁が深い食べ物なんだそう。
羊羹は漢字では"羊"の"羹"(あつもの)と書きますが、この「羹」という字は熱い汁もののことを指しています。つまり「羊羹」は「羊肉の熱々スープ」という意味。
甘いお菓子なのに、羊肉のスープ??と疑問がわきますが羊羹の起源をさかのぼると、もともとは本当に中国の羊肉のスープだったそう!

日本に伝わったのは鎌倉時代から室町時代。中国に留学したお坊さんが伝えたそうです。しかし、お坊さんは肉食を禁止されていたので羊肉のスープを、小豆などの材料で見立てて作り、精進料理にしたと言われています。それが徐々に広まっていく中で、スープの汁と具が分かれるようになり、甘い味付けがされるようになってお菓子に変化していったんだとか!

現在主流の、寒天で固めた練羊羹が広まったのは江戸時代になってからと言われています。
『遍路旅でも手軽に食べられる西川屋の竹林寺羊羹とは?!』
お坊さんが日本に伝えた羊肉のスープが、現在の羊羹になったということで、西川屋では四国八十八カ所第三十一番札所・五台山竹林寺にちなんだお菓子『竹林寺羊羹』が作られています。竹林寺羊羹は筒に流して作る羊羹で、底から押し出して横についている糸で切って食べる仕様になっています。遍路旅の途中、包丁が無くても手を汚さずに切って食べられるように工夫しているそうです。手軽に食べられるのは嬉しいですよね。

フタを取ると表面には砂糖が固まっていてシャリシャリ!この部分は筒の横から押して、ほぐしてから食べます。ちなみに、和菓子職人の間では「砂糖が結晶化してシャリシャリになること」を指す「シャる」という専門用語で呼ぶそうです。



実は羊羹のこの端のシャリには、防腐の役割があるそう。塩漬けや砂糖漬けになった食べ物が日持ちするように、砂糖が結晶化した羊羹が筒の入り口を塞ぐことで、羊羹の品質が保たれるようになっているんです。長旅には嬉しい工夫ですね。

元々は羊肉の熱々スープだった羊羹!ぜひ竹林寺羊羹を食べる時は、お坊さんとの意外な関係を思い出してみて下さいね♪

次回は5月2日(木)の放送です!お楽しみに★
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