BOOKS ランキング&今週のおすすめの一冊 2025/1/14放送
2025.01.14
毎週火曜日9時20分頃から、RKCラジオの「とさこちラジオ」で放送しているBOOKSランキング!
1月14日に放送した内容をご紹介します★
1月14日に放送した内容をご紹介します★
『1月14日放送 BOOKSランキング!TOP10』
🔻ランキング🔻※1月8日付
1位 日曜市の歩き方マップ
文 石川藍・かずさまりや/イラスト いそのけい
2位 本当の自由を手に入れるお金の大学 改訂版
両@リベ大学長 著 <朝日新聞出版>
3位 やなせたかし みんなの夢まもるため
やなせたかし他 著 <NHK出版>
4位 漫才過剰考察 ※初登場!
高比良くるま 著 <辰巳出版>
5位 天使たちの課外活動 11 ※初登場!
茅田砂胡 著 <中央公論新社>
6位 新装版 わたしが正義について語るなら
やなせたかし 著 <ポプラ社>
7位 少年が来る
ハン ガン 著 <クオン>
8位 今さら聞けない睡眠の超基本 ビジュアル版
柳沢正史 著 <朝日新聞出版>
9位 おばけずし
苅田澄子 作/柴田ケイコ 絵 <金の星社>
10位 パンどろぼう
柴田ケイコ 作 <KADOKAWA>
1位 日曜市の歩き方マップ
文 石川藍・かずさまりや/イラスト いそのけい
2位 本当の自由を手に入れるお金の大学 改訂版
両@リベ大学長 著 <朝日新聞出版>
3位 やなせたかし みんなの夢まもるため
やなせたかし他 著 <NHK出版>
4位 漫才過剰考察 ※初登場!
高比良くるま 著 <辰巳出版>
5位 天使たちの課外活動 11 ※初登場!
茅田砂胡 著 <中央公論新社>
6位 新装版 わたしが正義について語るなら
やなせたかし 著 <ポプラ社>
7位 少年が来る
ハン ガン 著 <クオン>
8位 今さら聞けない睡眠の超基本 ビジュアル版
柳沢正史 著 <朝日新聞出版>
9位 おばけずし
苅田澄子 作/柴田ケイコ 絵 <金の星社>
10位 パンどろぼう
柴田ケイコ 作 <KADOKAWA>
『今週の初登場作品!』
今週のランキング初登場!
『漫才過剰考察』高比良くるま 著 <辰巳出版>
M-1グランプリ2023王者・令和ロマンの髙比良くるまがM-1と漫才を完全考察。
『天使たちの課外活動 11』茅田砂胡 著 <中央公論新社>
ヴァンツァーやレティシアが苦労の末に舞台の主演を張った学園祭も無事終了し、課外活動芸能祭が始まった。リィ・シェラ・ルウの三人はいろいろなところに顔を出し、力を貸し、気晴らしに闘い、演奏会を計画したりと忙しい。
祭り気分を満喫する三人+α(ヴァンツァーとかレティシアとかお騒がせなご夫婦とかその息子とか)が楽しくもちょっと苦労したりする“普通でない”毎日とは?
『漫才過剰考察』高比良くるま 著 <辰巳出版>
M-1グランプリ2023王者・令和ロマンの髙比良くるまがM-1と漫才を完全考察。
『天使たちの課外活動 11』茅田砂胡 著 <中央公論新社>
ヴァンツァーやレティシアが苦労の末に舞台の主演を張った学園祭も無事終了し、課外活動芸能祭が始まった。リィ・シェラ・ルウの三人はいろいろなところに顔を出し、力を貸し、気晴らしに闘い、演奏会を計画したりと忙しい。
祭り気分を満喫する三人+α(ヴァンツァーとかレティシアとかお騒がせなご夫婦とかその息子とか)が楽しくもちょっと苦労したりする“普通でない”毎日とは?
『今週のおすすめの一冊』
「さくらのまち」
三秋縋 著 <実業之日本社>
今回紹介させていただくのは、実業之日本社より刊行された小説「さくらのまち」です。著者は「三日間の幸福」や「恋する寄生虫」といった作品でも有名な、厭世的な世界観を緻密に描く三秋縋さんです。
さて、私がこの作品を読み終わった時の率直な感想は「本書の帯に書かれたあらすじ以上のことは何も知らないままで皆さんに読んで欲しい」ということです。どの部分から紹介させていただいたとしても重大なネタバレをしてしまいそうなほどにこの物語は濃密なものになっています。是非とも結末まで読み終わった上で冒頭から読み直してみることをおススメします。
本書は三秋さんの6年ぶりの新作小説です。タイトルの「さくらのまち」は平仮名表記となっていますが、もちろんそこに込められた意味は一つではありません。日本語のさくらには、春の象徴とも言える桜の花の他にも、主に片仮名で表記される回し者の意味のサクラという言葉があります。これら二つのダブルミーニングとなっています。
あらすじは、
「高砂澄香が自殺しました」澄香―それは彼の青春を彩る少女の名で、彼の心を欺いた少女の名で、彼の故郷を桜の町に変えてしまった少女の名だ。澄香の死を確かめるべく桜の町に舞い戻った彼は、かつての澄香と瓜二つの分身と出会う。あの頃と同じことが繰り返されようとしている、と彼は思う。ただしあの頃と異なるのは、彼が欺く側で、彼女が欺かれる側だということだ。偽りの人間関係―「サクラ」本音と建て前。人の「本当」が見えなくなった現代の、痛く悲しい罪を描く圧巻の青春ミステリー!
三秋さんの作品の特徴でもありますが、今作も現代社会を舞台としながら特殊設定が加えられています。今回それは、心身の状態を常にモニタリングする機能をもつ「手錠」とも呼ばれる装置を、全ての人間がつけている社会だということです。そしてその装置が自殺する可能性が高いと判断した人間に、自殺阻止を目的とした人物を派遣するというのです。自殺阻止のために近づき疑似的な人間関係を構築する人間がつまりタイトルにもあるサクラということですね。
あらすじにもあるように、主人公である尾上という20代の男性のもとに、中学生の頃に同級生だった澄香という女性が自殺したと連絡が届きます。彼女の死やその直前の状況には不可解な事柄が多くあり、その根深い部分にはサクラが関係しているのです。あまりこの場で詳しい紹介ができませんが、もしもあなたと仲の良い親友や恋人といった人物が、本心ではなくサクラとして仕方なく親しい間柄の演技をしてくれているとしたら、あなたならどんな気持ちになるでしょうか。きっと嫌な気持ちになるはずです。より好ましく思っているほどに、サクラであると知った時の失望や怒りは大きなものになるでしょうし、偽物だった好意には大きな嫌悪感が伴うことでしょう。主人公の尾上も周囲の人間がサクラかもしれないという猜疑心に振り回され、青春を棒に振った一人です。
そんな彼は澄香の死の真相を探る過程で、澄香の妹である少女や様々な人物と出会い対話をしていきます。誰がサクラで、誰がサクラでないのか分からない、作中では「サクラ妄想」という言葉が登場しますが、そのせいで取り返しのつかなくなった青春の残滓を追いかける物語でもあります。自分以外の人間の感情や考えなど、本当の意味では誰にも分かりません。ですが、もし、あの時、あの人のあの言葉を信じることができていたら今とは違う人生だったかもしれないと思う人もいるでしょう。この物語はそういった誰しもが胸に抱えている、もしあの時に違う選択をしていたらという思いを刺激するように思います。
私は読み終わった直後はしばらく動くことができませんでした。そんな衝撃を、春の桜が恋しくなるような寒い冬の日に味わってみるのも良いのではないでしょうか。
金高堂本店スタッフ
三秋縋 著 <実業之日本社>
今回紹介させていただくのは、実業之日本社より刊行された小説「さくらのまち」です。著者は「三日間の幸福」や「恋する寄生虫」といった作品でも有名な、厭世的な世界観を緻密に描く三秋縋さんです。
さて、私がこの作品を読み終わった時の率直な感想は「本書の帯に書かれたあらすじ以上のことは何も知らないままで皆さんに読んで欲しい」ということです。どの部分から紹介させていただいたとしても重大なネタバレをしてしまいそうなほどにこの物語は濃密なものになっています。是非とも結末まで読み終わった上で冒頭から読み直してみることをおススメします。
本書は三秋さんの6年ぶりの新作小説です。タイトルの「さくらのまち」は平仮名表記となっていますが、もちろんそこに込められた意味は一つではありません。日本語のさくらには、春の象徴とも言える桜の花の他にも、主に片仮名で表記される回し者の意味のサクラという言葉があります。これら二つのダブルミーニングとなっています。
あらすじは、
「高砂澄香が自殺しました」澄香―それは彼の青春を彩る少女の名で、彼の心を欺いた少女の名で、彼の故郷を桜の町に変えてしまった少女の名だ。澄香の死を確かめるべく桜の町に舞い戻った彼は、かつての澄香と瓜二つの分身と出会う。あの頃と同じことが繰り返されようとしている、と彼は思う。ただしあの頃と異なるのは、彼が欺く側で、彼女が欺かれる側だということだ。偽りの人間関係―「サクラ」本音と建て前。人の「本当」が見えなくなった現代の、痛く悲しい罪を描く圧巻の青春ミステリー!
三秋さんの作品の特徴でもありますが、今作も現代社会を舞台としながら特殊設定が加えられています。今回それは、心身の状態を常にモニタリングする機能をもつ「手錠」とも呼ばれる装置を、全ての人間がつけている社会だということです。そしてその装置が自殺する可能性が高いと判断した人間に、自殺阻止を目的とした人物を派遣するというのです。自殺阻止のために近づき疑似的な人間関係を構築する人間がつまりタイトルにもあるサクラということですね。
あらすじにもあるように、主人公である尾上という20代の男性のもとに、中学生の頃に同級生だった澄香という女性が自殺したと連絡が届きます。彼女の死やその直前の状況には不可解な事柄が多くあり、その根深い部分にはサクラが関係しているのです。あまりこの場で詳しい紹介ができませんが、もしもあなたと仲の良い親友や恋人といった人物が、本心ではなくサクラとして仕方なく親しい間柄の演技をしてくれているとしたら、あなたならどんな気持ちになるでしょうか。きっと嫌な気持ちになるはずです。より好ましく思っているほどに、サクラであると知った時の失望や怒りは大きなものになるでしょうし、偽物だった好意には大きな嫌悪感が伴うことでしょう。主人公の尾上も周囲の人間がサクラかもしれないという猜疑心に振り回され、青春を棒に振った一人です。
そんな彼は澄香の死の真相を探る過程で、澄香の妹である少女や様々な人物と出会い対話をしていきます。誰がサクラで、誰がサクラでないのか分からない、作中では「サクラ妄想」という言葉が登場しますが、そのせいで取り返しのつかなくなった青春の残滓を追いかける物語でもあります。自分以外の人間の感情や考えなど、本当の意味では誰にも分かりません。ですが、もし、あの時、あの人のあの言葉を信じることができていたら今とは違う人生だったかもしれないと思う人もいるでしょう。この物語はそういった誰しもが胸に抱えている、もしあの時に違う選択をしていたらという思いを刺激するように思います。
私は読み終わった直後はしばらく動くことができませんでした。そんな衝撃を、春の桜が恋しくなるような寒い冬の日に味わってみるのも良いのではないでしょうか。
金高堂本店スタッフ
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