
日本初!女性参政権を訴えた民権ばあさん・楠瀬喜多~土佐の偉人コラム「歴史のなかの土佐人たち」~
2023.10.25
RKCラジオで毎週火曜日午後5:15から放送中の「歴史のなかの土佐人たち」
高知に縁のある武将や政治家、実業家、学者、作家などの偉人、有名人は、どんな人物だったのか?諸説ありますが、伝記や言い伝えを元に短くまとめたプロフィール、そして意外と知られていないエピソードなども交えて毎回一人ずつ紹介しています。
ぐるぐるこうちでは、放送には入りきらずカットした部分も含めて紹介します!
あだ名は「民権ばあさん」!日本で初めて女性の立場から“女性参政権”を訴えた!
「楠瀬喜多(くすのせきた)」は、日本で初めて女性の参政権を訴えた女性民権運動家で「民権ばあさん」の愛称で知られています。幕末の天保7年・1836年10月18日、現在の高知市南はりまや町付近の生まれで旧姓は「袈裟丸(けさまる)」。父親は土佐で米穀商をしていた人物と言われています。
中国の書物である「漢書」を嗜む、とても美人な女性だった楠瀬喜多は21歳の頃、約一回り年上の土佐藩の剣道師範「楠瀬実(まこと)」と結婚。
なかなか男勝りな性格だった喜多は、夫から剣術と薙刀、さらに別の人物から鎖鎌も学び、その腕前はかなりのものだったそうです。
明治7年、喜多が38才の頃、夫が他界。二人の間に子供はいなかったので、彼女が世帯主となりました。夫と死別してからまもなく、自由民権運動の指導者として知られる1才年下の「板垣退助」が高知で発足した政治団体「立志社」の演説会へ、頻繁に顔を出すようになります。
楠瀬喜多の名が全国に知られるきっかけになったのが、明治11年に行われた高知県区会議員選挙。喜多が高知県庁に対して、女性世帯主の選挙権を訴えたことが始まりです。
当時の選挙資格は20才以上の「男性」の世帯主であり、世帯主が女性の場合は選挙権がありませんでした。それに喜多は猛反発!「世帯主としてきちんと納税の義務を果たしているのに、女だから選挙権がないというのはおかしい。選挙権がないのなら納税はしない!」と抗議しましたが、県は「規則だから」と要求を受け入れませんでした。
すると喜多は国の機関である内務省に訴え出ます。この出来事は全国紙でも報じられ、楠瀬喜多は日本で初めて、女性の立場から女性参政権を訴えた人物ということで広く知られることになりました。
中国の書物である「漢書」を嗜む、とても美人な女性だった楠瀬喜多は21歳の頃、約一回り年上の土佐藩の剣道師範「楠瀬実(まこと)」と結婚。
なかなか男勝りな性格だった喜多は、夫から剣術と薙刀、さらに別の人物から鎖鎌も学び、その腕前はかなりのものだったそうです。
明治7年、喜多が38才の頃、夫が他界。二人の間に子供はいなかったので、彼女が世帯主となりました。夫と死別してからまもなく、自由民権運動の指導者として知られる1才年下の「板垣退助」が高知で発足した政治団体「立志社」の演説会へ、頻繁に顔を出すようになります。
楠瀬喜多の名が全国に知られるきっかけになったのが、明治11年に行われた高知県区会議員選挙。喜多が高知県庁に対して、女性世帯主の選挙権を訴えたことが始まりです。
当時の選挙資格は20才以上の「男性」の世帯主であり、世帯主が女性の場合は選挙権がありませんでした。それに喜多は猛反発!「世帯主としてきちんと納税の義務を果たしているのに、女だから選挙権がないというのはおかしい。選挙権がないのなら納税はしない!」と抗議しましたが、県は「規則だから」と要求を受け入れませんでした。
すると喜多は国の機関である内務省に訴え出ます。この出来事は全国紙でも報じられ、楠瀬喜多は日本で初めて、女性の立場から女性参政権を訴えた人物ということで広く知られることになりました。
高知市上町は「世界で2番目」に女性参政権が認められた革命的な場所!
喜多の訴えから2年後の明治13年9月20日。高知市の上町町会で世帯主には限りますが、女性の参政権が正式に認められることになりました。実は当時、女性の参政権を認めていたのは、アメリカのワイオミング州だけ。高知市上町は世界で2番目に女性参政権が認められた「革命的な地」だったんですね。
ちなみに、この規則成立の実現までに上町町会は3ヶ月に及ぶ抗議活動、また粘り強い交渉を県と行っていますが、これには坂本南海男(なみお)という民権家が大きく携わっています。
彼はあの坂本龍馬の甥。龍馬の一番上の姉の子どもにあたる人物で、直寛(なおひろ)、「ちょっかん」さんの名前でも知られています。
そして4年後の明治17年、政府は再び男性しか投票できない法律を新たに制定。女性参政権が認められたのは、それからなんと!!60年以上後の昭和21年。1946年になってからのことでした。
楠瀬喜多は初めて女性の参政権を訴えただけでなく、多くの民権家と交流をもち、彼らに自宅を宿として提供するなど、民権運動の活性化に大きなサポートを果たしました。彼女は大正9年・1920年10月18日、ちょうど85才の誕生日に亡くなります。晩年は高知市筆山町にあるお寺・要法寺で念仏三昧の日々を送っていたそうです。
1990年には女性による投票が日本で初めて行われた上町町会の跡地、高知市立第四小学校前に「婦人参政権発祥之地碑」が完成しました。この記念碑の建立は、楠瀬喜多を慕う地元の女性による募金活動から始まったそうですよ。

最後に楠瀬喜多にまつわる言い伝えを一つご紹介。
丸まげに小紋の着物姿、美人弁士として非常に人気が高かった楠瀬喜多が、現在の安芸市で行ったとされる演説会で、登壇した喜多がテーブルの上にあったコップの水を飲もうとすると、監視役の警官が「弁士中止!」と声をあげたそう。喜多は水を静かに飲み干して警官をジロリと睨み、「これはおかしい。女性が水を飲むにも警官の命令に従わなければいけない世の中では生きてゆくことができません。みなさん、そう思いませんか?」と聴衆に問いかけたところ、満員の会場は拍手喝采!警官は静かに姿を消した、というエピソードが残っています。
今回は女性民権運動家・民権ばあさんと呼ばれた「楠瀬喜多」を紹介しました。
【原稿監修協力 高知市立自由民権記念館】
執筆担当のあとがき📝
高知市上町と言うと、坂本龍馬の生誕地として有名ですが、世界で2番目に女性の参政権が認められた土地というのは高知県民でも知っている人は少ないのではないでしょうか?!(私は原稿を執筆するまで全く知りませんでした…)
その実現に大きな役割を果たしたのが「民権ばあさん」こと楠瀬喜多です。なかなか“はちきん”な女性だったようです。高知市上町にある第四小学校の前には記念の碑もありますので、お近くに行った際にはぜひ見てみて下さい!
ちなみに、この規則成立の実現までに上町町会は3ヶ月に及ぶ抗議活動、また粘り強い交渉を県と行っていますが、これには坂本南海男(なみお)という民権家が大きく携わっています。
彼はあの坂本龍馬の甥。龍馬の一番上の姉の子どもにあたる人物で、直寛(なおひろ)、「ちょっかん」さんの名前でも知られています。
そして4年後の明治17年、政府は再び男性しか投票できない法律を新たに制定。女性参政権が認められたのは、それからなんと!!60年以上後の昭和21年。1946年になってからのことでした。
楠瀬喜多は初めて女性の参政権を訴えただけでなく、多くの民権家と交流をもち、彼らに自宅を宿として提供するなど、民権運動の活性化に大きなサポートを果たしました。彼女は大正9年・1920年10月18日、ちょうど85才の誕生日に亡くなります。晩年は高知市筆山町にあるお寺・要法寺で念仏三昧の日々を送っていたそうです。
1990年には女性による投票が日本で初めて行われた上町町会の跡地、高知市立第四小学校前に「婦人参政権発祥之地碑」が完成しました。この記念碑の建立は、楠瀬喜多を慕う地元の女性による募金活動から始まったそうですよ。

最後に楠瀬喜多にまつわる言い伝えを一つご紹介。
丸まげに小紋の着物姿、美人弁士として非常に人気が高かった楠瀬喜多が、現在の安芸市で行ったとされる演説会で、登壇した喜多がテーブルの上にあったコップの水を飲もうとすると、監視役の警官が「弁士中止!」と声をあげたそう。喜多は水を静かに飲み干して警官をジロリと睨み、「これはおかしい。女性が水を飲むにも警官の命令に従わなければいけない世の中では生きてゆくことができません。みなさん、そう思いませんか?」と聴衆に問いかけたところ、満員の会場は拍手喝采!警官は静かに姿を消した、というエピソードが残っています。
今回は女性民権運動家・民権ばあさんと呼ばれた「楠瀬喜多」を紹介しました。
【原稿監修協力 高知市立自由民権記念館】
執筆担当のあとがき📝
高知市上町と言うと、坂本龍馬の生誕地として有名ですが、世界で2番目に女性の参政権が認められた土地というのは高知県民でも知っている人は少ないのではないでしょうか?!(私は原稿を執筆するまで全く知りませんでした…)
その実現に大きな役割を果たしたのが「民権ばあさん」こと楠瀬喜多です。なかなか“はちきん”な女性だったようです。高知市上町にある第四小学校の前には記念の碑もありますので、お近くに行った際にはぜひ見てみて下さい!

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