和菓子のはなし ~重陽の節句と菊にまつわるはなし~
和菓子のはなし ~重陽の節句と菊にまつわるはなし~
2024.09.05
RKCラジオで毎月第1木曜日の午前10時35分頃から放送している「和菓子のはなし」

和菓子の魅力、美味しさを、創業元禄初年(1688年)西川屋老舗・池田真浩さんと楽しくお伝えしています。

今月紹介するのは、平安時代からある!?長生きのおまじないついて!

『菊で長寿のおまじない!?』
9月9日は重陽の節句ちょうよう-の-せっく)。
陰陽思想では偶数を陰、奇数を陽とするため、最大の陽の数字である9が重なることから、9月9日は「重陽の節句」と呼ばれます。

重陽の節句は別名「菊の節句」。平安時代の宮中では、菊花を観賞して、菊の花びらを浮かべたお酒を飲んで長寿を願っていたそうです。
かつて菊の花は、仙人の住む山に咲くと信じられており、その力を取り入れることで邪気を払って長生きすることができると考えられていました。

『菊』には無病息災、そして若返り、長寿という言い伝えがあることから、重陽の節句に菊を愛でるのは、今風に言えば、アンチエイジングのおまじないだったとも言えますよね。

他にも菊にちなんだ風習として「着せ綿」があるそうです。
これは9月8日に菊の花に綿を載せ、9月9日の朝、朝露と菊の香りを含んだ綿で身体を拭う習わし。菊のエネルギーを体に取り入れて、無業息災や若返りを願うものなんだとか。
古くは平安時代、源氏物語にも登場するそうですよ!
『重陽の節句にちなんだ和菓子 西川屋の吉華饅』
今回、この重陽の節句にちなんだ創作菓子を西川屋で販売しているということで紹介してくれたのが吉華饅(きっかまん)。
2021年発売にされて、今年で4年目。現代ではあまり馴染みのない「重陽の節句」ですが、吉華饅の発売以来、少しずつ認知度が高まっているそうです。

吉華饅をよく見てみると、菊の花が入っています!



饅頭の皮は小麦粉で作られることも多いなか、吉華饅は、山芋でつくる薯蕷饅頭

「薯蕷(じょうよ)」とは山芋のことで、小麦粉でつくる饅頭よりも口あたりが柔らかくかつ口どけも良い、上等な饅頭とされます。

擦り下ろした山芋で作られるので蒸し上げる前の生地はとてもやわらかく、ちょっと変な力が入ってしまっただけできれいな丸にならず、包むのはまさに職人技!と教えてくれました。かつての職人は薯蕷饅頭をどれだけ早くたくさん包めるかで給料が決まったとも言われているそう!

吉華饅は餡も特別!一般的に、白餡は手芒豆(テボマメ)等のインゲン豆で作られますが、『吉華饅』の餡は、虎豆(トラマメ)が原料に使われています。

虎豆は「豆の王様」とも呼ばれる高級品種!しっかり旨味がありながら、とてもあっさりした風味を楽しめます。高級感あふれつつ縁起も良さそうな和菓子ですよね!



次回は10月3日(木)の放送です!お楽しみに★
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