BOOKS ランキング&今週のおすすめの一冊 2024/4/23放送
2024.04.23
毎週火曜日9時20頃から、RKCラジオの「とさこちラジオ」で放送しているBOOKSランキング!
4月23日に放送した内容をご紹介します★
4月23日に放送した内容をご紹介します★
『4月23日放送 BOOKSランキング!TOP10』
🔻ランキング🔻※4月17日付
1位 成瀬は天下を取りにいく
宮島未奈 著 <新潮社>
2位 変な家 2
雨穴 著 <飛鳥新社>
3位 変な絵
雨穴 著 <双葉社>
4位 変な家
雨穴 著 <飛鳥新社>
5位 世界は経営でできている
岩尾俊兵 著 <講談社>
6位 わが投資術
清原達郎 著 <講談社>
7位 成瀬は信じた道をいく
宮島未奈 著 <新潮社> 初登場
8位 きみのお金は誰のため
田内学 著 <東洋経済新報社> 初登場
9位 まんがでわかる頭に来てもアホとは戦うな!
田村耕太郎 著 <朝日新聞出版>
10位 経済評論家の父から息子への手紙
山崎元 著 <Gakken>
1位 成瀬は天下を取りにいく
宮島未奈 著 <新潮社>
2位 変な家 2
雨穴 著 <飛鳥新社>
3位 変な絵
雨穴 著 <双葉社>
4位 変な家
雨穴 著 <飛鳥新社>
5位 世界は経営でできている
岩尾俊兵 著 <講談社>
6位 わが投資術
清原達郎 著 <講談社>
7位 成瀬は信じた道をいく
宮島未奈 著 <新潮社> 初登場
8位 きみのお金は誰のため
田内学 著 <東洋経済新報社> 初登場
9位 まんがでわかる頭に来てもアホとは戦うな!
田村耕太郎 著 <朝日新聞出版>
10位 経済評論家の父から息子への手紙
山崎元 著 <Gakken>
『今週の初登場作品!』
今週のランキング初登場!
「成瀬は信じた道をいく」 宮島未奈 著 <新潮社>
唯一無二の主人公、再び。と思いきや、まさかの事件が勃発!?我が道を突き進む成瀬あかりは、今日も今日とて知らぬ間に、多くの人に影響を与えていた。読み応えますますパワーアップの全5篇!
「きみのお金は誰のため」 田内学 著 <東洋経済新報社>
お金自体には価値がない、お金で解決できる問題はない、みんなでお金を貯めても意味がない。
3つの謎を解いたとき、世界の見え方が変わった。大人も子どもも知っておきたい経済教養小説。
学校では教えてくれない「お金と社会の本質」がわかる。
「成瀬は信じた道をいく」 宮島未奈 著 <新潮社>
唯一無二の主人公、再び。と思いきや、まさかの事件が勃発!?我が道を突き進む成瀬あかりは、今日も今日とて知らぬ間に、多くの人に影響を与えていた。読み応えますますパワーアップの全5篇!
「きみのお金は誰のため」 田内学 著 <東洋経済新報社>
お金自体には価値がない、お金で解決できる問題はない、みんなでお金を貯めても意味がない。
3つの謎を解いたとき、世界の見え方が変わった。大人も子どもも知っておきたい経済教養小説。
学校では教えてくれない「お金と社会の本質」がわかる。
『今週のおすすめの一冊』
「希望のゆくえ」 寺地はるな 著 <新潮社>
今回紹介させて頂くのは新潮社から文庫で刊行された小説「希望のゆくえ」です。著者の寺地はるなさんは優しい作風が特徴で、生き方に悩んでいる人が勇気をもらえるような作品をこれまで数多く書かれている作家さんです。
さて突然ですが、皆さんは兄弟や両親など身近な人のことを全て知っていると言えるでしょうか。おそらく全て知っているなんてことはないでしょう。同じ家に暮らしている家族だとしても、家のなかでの顔しか目にする機会はないでしょうし、職場や学校でどのような様子でいるのかということはほぼ分からないと思います。友達と一緒にいる時と、家族と一緒にいる時で振る舞いや言動が変わるということは当たり前のことではあります。
ここで本作のあらすじを紹介します。
『誰からも愛された弟・希望(のぞむ)には誰も知らない秘密があった。突然姿を消した弟を探す兄の誠実(まさみ)は関係者たちの語る姿を通して弟の複数の顔を知る。本当の希望はどこにいるのか。弟の行方を辿るうちに、誠実もまた目をそらしてきた感情と向き合うことになる』
30代の会社員である兄・誠実は母からの連絡で弟・希望が失踪したことを知らされます。マンションの部屋にも手がかりはありません。ですが誠実はそこでかつて家族旅行で行った天草の真珠養殖場で撮影した家族写真を見つけます。写真のなかの弟はどんな表情とも呼べない顔をしていました。兄の記憶のなかの顔とは違う顔です。弟はなぜ失踪したのか。別段仲が良かった訳ではない兄弟だったので、何を思って失踪したのかも皆目見当も付きません。
誠実はひとまず学生時代に弟と付き合っていた女性に話を聞きに行くなど行動を起こします。そこで見聞きしたのは語る人によってまるで印象の異なる弟の姿でした。ある人にとっては「きれいな人」、ある人にとっては「都合のいい人」あるいは「優しい人」「不思議な人」、行方を追うごとに弟がどんな人間だったのか理解不能になっていきます。本作は行方不明になった弟を探す話ではありますが、本筋はそこだけではありません。弟を探す過程で兄の人間性があらわになる物語でもあります。妻との冷え切った関係や、幼少の頃から長年見ないふりをしてきた家族の環境が描かれる場面は鳥肌が立ちました。
タイトルの「希望のゆくえ」は、希望と書いてのぞむと読む弟の行方ともかかっていますが、これまできちんと人と向き合ってこなかった兄の想いにもかかっていることでしょう。自己肯定感が低く生きにくいと思っている人にこそ感じるものが多い作品だと思います。
子供の頃の家族旅行での真珠養殖場で、かつて弟が口にした「すごいなあ、兄ちゃんは」という言葉も兄は皮肉を言われたと思っていましたが、弟の真意はまた別のところにありました。弟の人間性は関係者の見た姿でのみ語られるので、本当はどんな気持ちでいたのかは分かりません。分からないけれど、それでいいのだと思わされます。どんな人間なのか、という問いはそんなに大切なことなのか。作中で登場する言葉にもハッとさせられました。いい人なのか悪い人なのか。優しい人なのか優しくないのか。そこに明確な境目はないのかもしれません。その人はその人でしかないのです。どうあっても違う人にはなれません。そんなことを考えてしまいます。
本作は2020年に単行本が発行されていますが、今回の文庫化にあたって書き下ろしの最終章が収録されています。以前に単行本で読まれた方にも必読の一冊となっています。
この作品を読んだ皆さんにも明るい希望があらんことを。
★金高堂本店 スタッフ★
今回紹介させて頂くのは新潮社から文庫で刊行された小説「希望のゆくえ」です。著者の寺地はるなさんは優しい作風が特徴で、生き方に悩んでいる人が勇気をもらえるような作品をこれまで数多く書かれている作家さんです。
さて突然ですが、皆さんは兄弟や両親など身近な人のことを全て知っていると言えるでしょうか。おそらく全て知っているなんてことはないでしょう。同じ家に暮らしている家族だとしても、家のなかでの顔しか目にする機会はないでしょうし、職場や学校でどのような様子でいるのかということはほぼ分からないと思います。友達と一緒にいる時と、家族と一緒にいる時で振る舞いや言動が変わるということは当たり前のことではあります。
ここで本作のあらすじを紹介します。
『誰からも愛された弟・希望(のぞむ)には誰も知らない秘密があった。突然姿を消した弟を探す兄の誠実(まさみ)は関係者たちの語る姿を通して弟の複数の顔を知る。本当の希望はどこにいるのか。弟の行方を辿るうちに、誠実もまた目をそらしてきた感情と向き合うことになる』
30代の会社員である兄・誠実は母からの連絡で弟・希望が失踪したことを知らされます。マンションの部屋にも手がかりはありません。ですが誠実はそこでかつて家族旅行で行った天草の真珠養殖場で撮影した家族写真を見つけます。写真のなかの弟はどんな表情とも呼べない顔をしていました。兄の記憶のなかの顔とは違う顔です。弟はなぜ失踪したのか。別段仲が良かった訳ではない兄弟だったので、何を思って失踪したのかも皆目見当も付きません。
誠実はひとまず学生時代に弟と付き合っていた女性に話を聞きに行くなど行動を起こします。そこで見聞きしたのは語る人によってまるで印象の異なる弟の姿でした。ある人にとっては「きれいな人」、ある人にとっては「都合のいい人」あるいは「優しい人」「不思議な人」、行方を追うごとに弟がどんな人間だったのか理解不能になっていきます。本作は行方不明になった弟を探す話ではありますが、本筋はそこだけではありません。弟を探す過程で兄の人間性があらわになる物語でもあります。妻との冷え切った関係や、幼少の頃から長年見ないふりをしてきた家族の環境が描かれる場面は鳥肌が立ちました。
タイトルの「希望のゆくえ」は、希望と書いてのぞむと読む弟の行方ともかかっていますが、これまできちんと人と向き合ってこなかった兄の想いにもかかっていることでしょう。自己肯定感が低く生きにくいと思っている人にこそ感じるものが多い作品だと思います。
子供の頃の家族旅行での真珠養殖場で、かつて弟が口にした「すごいなあ、兄ちゃんは」という言葉も兄は皮肉を言われたと思っていましたが、弟の真意はまた別のところにありました。弟の人間性は関係者の見た姿でのみ語られるので、本当はどんな気持ちでいたのかは分かりません。分からないけれど、それでいいのだと思わされます。どんな人間なのか、という問いはそんなに大切なことなのか。作中で登場する言葉にもハッとさせられました。いい人なのか悪い人なのか。優しい人なのか優しくないのか。そこに明確な境目はないのかもしれません。その人はその人でしかないのです。どうあっても違う人にはなれません。そんなことを考えてしまいます。
本作は2020年に単行本が発行されていますが、今回の文庫化にあたって書き下ろしの最終章が収録されています。以前に単行本で読まれた方にも必読の一冊となっています。
この作品を読んだ皆さんにも明るい希望があらんことを。
★金高堂本店 スタッフ★
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